加藤和彦 自殺
昼寝から覚めて、ミクシィニュースをみたら加藤和彦が自殺してしまっていた。
ひとり軽井沢のホテルに行き、浴槽で首つりしていたそうである。
これには、ショックを受けた。
私は80年代になって、宝島社が元「サディスティック・ミカ・バンド」のヴォーカリスト・福井ミカさんの事を「伝説のボーカル」としてフューチャーした頃からミカ・バンドのファンになり、「ミカのチャンス・ミーティング」や福井ミカの著書、ミカ・バンドのCDを集めだした「後追いファン」である。
なので加藤和彦の全盛期には間に合っていないが、ミカの元・夫ということで親しみをこめて「トノバン」と思っていた。
(それと、まったく意識していなかったが、中学の文化祭のときフォークソングクラブで「イムジン河」を歌わされていた。フォーク部の顧問教師がばっちり「フォークル世代」だったからだと思う。
政治的事情で放送禁止歌となったこの曲は、フォークソングファンの枠を超えて注目されていたのだ。
なので、この曲はいまだにフォークギターの18番のひとつである)
私の中のトノバン像は、幼い頃からブルジョワ育ち、海外生活をこなしたお坊っちゃまで、若くしてミカと結婚し
たけれどミカにとってはちょっと物足りず……英国の音楽プロデューサー、クリス・トーマスにとられてしまった、という印象である
(ちょっと「ひっどーい」かしら)
しかしその後、トノバンはミカに髪型がそっくりな作詞家・安井かずみと結婚した。
(私自身もボブですが、この世の中には「ボブ女好き」というジャンルがあります)
そして安井かずみががんで他界した後、今度は中丸三千繪と結婚していたと思ったのだが、ニュースに中丸の名前が全然出ていないところを見ると離婚していたのだろうか。(2000年に離婚していた)
そして最近は木村カエラを迎えてまた「ミカ・バンド」を再結成し、アルフィーの坂崎幸之助ともユニット「和幸」を組んで活動していた。
元祖「ミカ・バンド」ファンの私でもカエラ版ミカ・バンドは十分に楽しめた。
それを思うと、買っていないが「和幸」もかなり楽しめたのではないか?と思う。
が、カエラ版「ミカ・バンド」のドキュメンタリー映画にははげしく違和感を覚えた。
加藤和彦はじめミカ・バンドのメンバーの「語り」がメイン(リハーサル室でえんえん中年男のインタビューが続く)となっており、ライブシーンは時折挿入されるだけ。
それも、目玉である「蓮の花からカエラが登場」するシーンですら、登場後のブツ切りである。
カエラに対するリスペクトがまったくされていないのである。
これは、映画監督の意図だろうか?
いや、もしかして、映画によってミカ・バンドの体質が浮かび上がったのかもしれない。
私が長年愛していたサディスティック・ミカ・バンドは、「女性ヴォーカリストをリスペクトしない」バンドだったのではないか。
だから、福井ミカ、桐島かれん、木村カエラ、誰にも席を空ける。
歌よりもファッション、カリスマ、話題性のある女性が「ミカ」を演じ、入れ替わって機能すればいいのである。
まあ歌姫崇拝でなかったからこそ、ミカ・バンドの音楽クオリティは保ってこれたとの言えるのだけれど。