ビールをなめる夜。
友人と秋葉原で待ち合わせて、本八幡のベルギー・ビールの専門店に行った。
ここは、彼女の知人の方がやっているお店で、彼女の描いた絵が掛けてあるという。
午後6時から深夜2時まで開けているという店は、ベルギー・ビールをこよなく愛する店長のこだわりに溢れた店だった。
でも…。私、飲めないよお。
100種類くらいあるメニューの中から、「セントルイス・カシス」を選び、ちびちびとなめる。
http://www.rakuten.co.jp/beerzone/392645/468947/
彼女は今、お母さんが入院中で、ひとり暮らしをエンジョイしているとの事だった。
ある宗教に入信している彼女は、朝起きて朝のおつとめ(読経)をしてから朝食を作り、弁当のおかずを詰め、仕事が終わると午後6時には家について
「忍たま乱太郎」をみながら夕飯を作って食べ、明日の弁当に入れる煮物を煮、入浴、夜のおつとめ(読経)、能面を彫って夜10時には就寝しているという。
目はきらきらと輝き、毎日が楽しくて仕方ないという。気力充実、何もかも功徳のおかげ、との事であった。
ううむ…。
そのよーに元気だと、宗教辞めろ、とは言えないなあ。
それに、「新興宗教に入っているから付き合わない」といって決裂してしまうと、特殊な信仰を持っている他国の人とであったときに友好的になれないではないか。それは私の信条に合わない。
私は何も言えず、またちびちびとビールをなめた。
店の料理は絶品であった。
が、在宅出家しているような生活をしている彼女と、店のマスターの会話はかみ合わず、彼女の知り合いであるのもかかわらず私がひたすらに喋り続けた。
愛知万博の評判と、ホリえもんについてどう思うか、ということ。
他にお客はこなくて、私たちは6時40分から9時半まで、静か〜にその店で過ごした。
帰り際、絵をみせてもらった。
金の俵にのった大黒様の絵。それは、商売繁盛を願った絵なのだろうと思う。
でもね、ベルギー・ビールの店にはどうなのだろうか。そして、彼女は自分の分身であるこの絵との再会する事が重要で、私とマスターのことには一滴たりとも興味は無いのではないか、と感じた。
隔絶の感がある。
彼女にもう、私の声は届かず、ホトケ様の存在が遮断している。
ちょびっと、憎いと思った。